RV自伝の第13章にも登場するこの映画は、映画の内容よりも主演の一人マリア・シュナイダーの奇行に付いて触れられていた。もう一つ触れていたのが、一番最初にロケをしたローマ街の寒空で撮影されたというシーンである。自分たちはとても寒い思いをしたのだが、監督のルネ・クレマンは暖房を効かせたあたたかな車に奥さんを横に置き、そこから出ることなく指示を出していた。と書いてありました。そのシーンがどこなのか、探しましたが、多分誘拐されたベビーシッター(マリア・シュナイダー)のボーイフレンドと一緒にスチュアート(ロバート・ヴォーン)がその監禁されている場所に向かったところなのだと思います。映画にあるシーンは車の中ですが、きっと外のシーンもあったのでしょうね。もう一人の主役アン(シドニー・ローム)がとても寒そうに佇んでいます。
 この映画ではヴォーンさんは、かつてはスターだったけれど、今はあまり売れない俳優で、そのために誘拐事件を画策した黒幕を演じています。目玉焼きを料理しながら「ローマでは何もかも物価が上がってる」と文句を言うと、マネージャー兼恋人の彼女が「あなた以外はね」と嫌味ったらしく突っ込みます。昔のヒット作と思われる西部劇のポスターが自室に貼ってあったりして未練たらたらのようです。(笑)
 映像敵には、昔の貴族の衣装を着て、化粧をしたシーンが冒頭にでてきて、「ギョッ」としますが、これは映画の中でのさらに映画の撮影でした。ヴォーンさんの役はこの映画の鍵になる役でしたが、出番が期待したほど多くはなかったのと、悪役としてのアクの強さが今ひとつであったのが、私の不満ですが、フランス映画の巨匠、ルネ・クレマン監督、そして音楽、フランシス・レイによるフランス映画という視点で見れば、なかなかおもしろいサスペンス・ロマン作品と言えるでしょう。
 もっとも、ヴォーンさんは作品をみたことがないそうですが、観たら何と言うのでしょうね。
Home
NEXT

brochure

Back
Wanted:Babysitter(1975)