このエピソードは私にとっても、お気に入りエピソードの一つです。いつもクールで仕事に徹するハリーの普通の人間、父親、夫としての苦悩を垣間見ることができる、そういう演技が見られるからです。第一話で、ハリーは結婚していて、息子がいて、別々に暮らしていることが推測できましたが、それ以後はまったくその気配を見せていませんでした。そしてこのエピで、彼の仕事を嫌って、名前も変え、5000マイルも離れても、誰かがハリーの家族であることを見つけ出し、事件に巻き込まれるという奥さんの苦悩がわかります。
 今回のエピはクーデターを起こすためにハリーに大統領暗殺をさせようと企てた一味に、息子のジョニーが拉致し、奥さんがハリーのところへ駆けつけるところから始まります。息子を救うために、本来警護するべき大統領を暗殺しなけれなならない、さらに実行すれば自分の生命も危ない、しかし、息子と家族は守らなければならない、その決断を迫られたときの苦悩、そして、仲間の協力で見事に裏をかいて、息子と奥さんを救出したときにみせる安堵、さらに、一瞬みせる夫婦としての思いやり、息子への愛情、などなど感情の機微の表現が見事だとおもうのです。そして最後、空港でハリーの姿を探す奥さんと、外から飛行機を見送るハリーの姿が、二人の心の内を表し、とても24分とは思えない密度の濃いエピソードです。

「クリティカルスタディ 」の一部を抜粋します。
≪私がこのシリーズの中には彼のベストワークが含まれていると言うと、
「いくつかの心に触れる脚本がありましたね。子供に関わるエピソードで、ひとつは"Sugar and Spice"そしてもう一つは、ハンナ・ゴードンと共演した"With a Little Help from My Friend"です。」
 Vaughnがハリー・ルールをメランコリックとみられるようにするつもりはなかったとしても、彼はこの派手目な探偵をそれらしくない生真面目さを持って描こうという意図を持っていました。
「シャーウッドと私はそのようにするつもりだったのです。ハリーは確かに一般的には諜報員・スパイ・探偵の分野に入るとしても、出来うる限りナポレオン・ソロとは対極になるようにしたかったのです、衣装をつけたときからね。退屈だったかもしれないけどね。。。。」≫
 

With a Little Help from My Friend:1-21
死んだはずだよハリー
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