The Mind of Mr. Soames(1970)
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待ちに待った幻の「The Mind of Mr. Soames」です。イギリス作品、日本未公開。Vaughnが拠点をイギリスに置いていた時の出演作です。当時の批評をみると評価が極端に分かれていますが、今この年齢でみると、「噛めばかむほど」、なかなか味わいのある映画です。Vaughnの役も今までにない役つまり、「暖かで、理知的で、良い人」で、演技も細やかで柔らかくて好きです。この映画が成功していれば、その後のVaughnの演じる役の方向性が異なったかもしれないとまで思えます。このキャラは滅多にありません。Vaughnファンは必見です。
生まれた時から昏睡状態のまま30歳になったソームズの意識を目覚めさせ、人間らしく育てるための一大プロジェクトに関わる医師です。そして、そのプロジェクトの責任者メイトランド医師とソームズの「育て方」について、対立します。「コントロール」対「自主性」の対立です。またその成長のプロセスをドキュメンタリーにするため密着取材するTV局が頭はまだ赤ちゃんなみのソームズの神経を苛立たせ波紋を呼びます。映画は手術を受け、目覚め、赤ちゃんから幼児、少年へと成長して行く過程、さらに自我に目覚め、強制的なプログラムに嫌気をさし、逃走するソームズが巻き起こす事件。そしてまた自分の意思でもどろうとしかけたときに、またマスコミの節操のない取材に狂乱してしまう。その結果、自分の頼りにするバーゲン医師に怪我をさせてしまい、どうして良いのか分からず、我を失って倒れ込み、心配するいつもそばにいてくれた医師の手を握って微笑むところで終わっています。その終わり方が今後の有り様がわからず不安なのです。