小さい頃から父親に連れられて映画を見に行った。そのころは主に西部劇だったからジョン・ウエィンは私のヒーローだった。そして、ある日、TVであの「0011ナポレオン・ソロ」が始まった。アメリカ人エージェントとロシア人エージエントの二人組の絶妙なやりとり(そのころは吹替えで)、軽口を叩きながら危機を脱する姿にスリリングな感動を覚えた。オシャレだと思った。ソロがすぐ私のヒーロになった。 父親に頼んで映画も見た。(罠を張れ!は間に合わなかった) そこで初めて二人の生の声を聞いた。二人の声が素敵だった。特にソロの声の響きが好きだった。英語はわからなくても、声の変化でなんとなく理解できた。声、目、眉、口、微妙な表情の変化が子どもながらに「凄い!」と思った。いつか本人の生の声で理解したい、と強く思った。 番組が終了した時、すごく悲しかった。すぐに「ブリット」を見に行った。そこにはもうソロは居なかった。でも、 チャルマースというとてつもなく嫌な奴がいた、本当に嫌な奴だと思った。それほどすごい演技だった。 「レマゲン鉄橋」もすぐに見た。ドイツ軍の中にあって、珍しい人道的な考えをもつまともな将校だった。でも、そんな理屈は通らない非情なナチスドイツ、彼の苦悩ぶりを通して、戦争の非情さを痛感した。悲しい最後だった。でもメッセージは伝わった。 「プロテクター電光石火」も待ってましたとばかり、全部TVにくいついて見た。 ソロよりクールで、どこか影の漂う、カッコよさがあった。 「荒野の7人」も見た。映画館で、入れ替えにも負けず何度も見た。 やっぱり、目で語る演技がクールでたまらなく魅力的だった。 「タワリングインフェルノ」も見た。あまり演技力の発揮しようのない役だった。 「スパーマンV」も見た。こういう知的でずるがしこい、憎まれ役はもう彼しかできない、と思うほどはまり役だった。 そういう役は続いた「ブラックムーンライジング」「特攻A−チム」。 刑事コロンボシリーズの「歌声の消えた海」「さらば提督」はその彼の演技の細やかさがさらに際立ったものだった。 「ジュリアス・シーザー」も演技力が冴えていた。 「権力と陰謀」の大統領補佐官役は凄かった。さすが、エミー賞を受賞するわけだと、納得した。 しばらく彼の映画がないときは「ナポレオンソロ」の再放送が支えだった。(笑) セリフや表情を真似して見た(笑) そして、仕事・子育て・仕事で忙しくしているうちにインターネットの時代になった。 そうこうしているうちに英語もそれなりにわかるようになっていた。 今、「華麗なるペテン師たち」でこれまた軽妙なトークでその存在感を放っている彼、「フォーチュネイトライフ」という自伝を出版し、再びTVのトーク番組に出だした彼、を私は今ものすごい勢いで追跡している。 インターネットのお陰で、彼の初期の作品、日本では公開されていない作品を見て、この人の演技力はやはりだた者ではなかったと実感している。もっともっと彼のことを知りたく、関連書籍を読みあさっている。 Eigomama is a die-hard fan of Robert Vaughn. |