嵐のために、駅馬車ステーションに避難したアダム・カートライト、そこにルーク・マーティンやってくる。メキシコへ行くというルークにここの孫娘のマーティが一緒に連れて行って欲しいと懇願するが、ルークは「一人が良い」と断る。しかし、ルークとマーティは惹かれあっているようだ。嵐のため遅れた駅馬車が到着、その乗客が、ルーク・マーティンが賞金のかかったお尋ね者であることが、分かり、状況は一変する。嵐が収まったら出て行くと言うルークに、祖父の束縛から逃れたいマーティーが連れて行って欲しいとまた懇願する。正当防衛とはいえ、お尋ね者の自分に付いてくることを拒否し続けたが、マーティの気持ちを組んで一度は連れて行くことに。しかし、アダムに彼女を巻き込むなと説得されて、一人で出発する。しかし、追手が迫ってきていたので、またもどることに、そこで、彼らを人質にした形で、追手との銃撃戦が始まる。切羽詰まったルークが、マーティを人質にして一緒に逃げようとしたその時、ついにアダムが行動に出、銃を奪う。捕まるより、殺して欲しいと頼むルークに、自分は君とは違うというアダム。 ルークは最後の頼みとして、自分を捕まえた賞金の5000ドルをマーティがここを出て自立するためのお金として渡して欲しいと頼み、アダムが約束する。
ナポレオン・ソロになる前の「影のある若い悪人」としてのyoung Vaughnの集大成とも言える作品である。逃亡者ではあるが、正当防衛を認められずに逃げることになったという設定なので、極悪非道な悪人ではない。知性、ユーモア、恐れ、怒り、すごみ、絶望、孤独などを見事な細かな表情の変化を作り出して演じている。マーティを魅了する語り口、時折見せる笑顔も魅力的。西部劇とは言え、ほぼこの駅内での密室劇ゆえに、パーネル・ロバーツ(ロジャー)とドーン・ウェルズ(可愛いマーティ)との心理描写のぶつかりあいある。もう逃げられないと悟り、出て行く時にマーティに見せる控えめな優しさの表情も素晴らしい。
彼が出演した西部劇のほとんどは単純なヒーローと悪人の対決ではなく、こういう「訳あり」を匂わせた人間描写のストーリーに重きを置いた作品が多い。 それもまた、Vaughnというこの若く才能豊かな役者を得てこそ成り立ったのだと確信させる作品である。
ボナンザは当時、80ケ国、4億人の視聴者がいたとされているので、この作品への出演は知名度を上げるにはとても大きいことであった。
Bonanza:The Way Station(1962)
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