"Hell's Cross Roads","No Time To Be Young", "Teenage Caveman"に続く4作目の映画。"Young Philadelphian"直前の映画なだけあって、人の感情に訴える彼の繊細な演技なくして、この異色のサスペンスにとんだ西部劇は成り立たなかったのではないかと思えるほどである。
西部劇ならではの、若さあふれるガンファイトも最後に見られるが、彼の演技はほとんど留置場の中と裁判の間の揺れ動く感情表現に絞られる。自分は無実だと、幼馴染のローリーに信じ込ませるほどの母性本能を揺らす演技、判決の前に自分の無実を訴え、保安官への恨みを言わずに、自分が非行に走ったことは認めるが、人は殺していない、と切々と涙ながらに訴える演技は、はじめはリンチだ、と騒いでいたほどの町の人たちに「ひょっとしたら本当に犯人ではないのではないか?」と思わせてしまう。映画の冒頭で、はっきりと犯人はこのkidであると分かっているのだから、この映画の主題はエディーとローラの父でもある正義を貫く、保安官と、この二人をめぐる周囲の人々の心の葛藤、特に大衆心理のいい加減さを描くことにあったのだと、思われる。
この映画での感情表現は後の「Young Philadelphian」での演技に通じるものであり、若き日のVaughnを演技派として位置づけるものであることは間違いない。
それにしても、ともかく悪い奴でも、どこか知的でクールで格好良いのは、すでにこの頃からであったということ。うーん、格好くて、どこかはかなげで、母性本能くすぐられっぱなしなのです。

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Good Day For Hanging (1959)