HUSTLE Season1 関連記事
With The Sting in its tail
A stylish new BBC drama celebrates the art of the conman and the return of a Sixties screen icon, writes Jay Rayner
The Observer, Sunday 15 February 2004
洗練されたBBCの新番組が詐欺師のその技術と60年代の象徴的なスターの復活を讃える。
**
プロデューサーはすぐにはそれが良い考えだとは納得しなかった。ドラマのその責任者はその番組にゴーサインが出る前に彼をキャスティングすることを主張しなかった。しかし、ロバート・ヴォーンが生来の才能の上にピンストライプの背広をきっちり着込み、顎をあげ、赤のポケットチーフを納めるべきところに入れ、レンズに中に登場した瞬間、このBBCの新しい詐欺師たちを描いたドラマ、「HUSTLE」(華麗なるペテン師たち)は、彼のいないことなど想像出来なくなった。 ヴォーンは憧れであり偉大である、その安心感をあたえる存在が私たちに楽しいひと時を過ごすことができると語っているそうです、彼はずーと長い間映画スターであり続けています。「都会のジャングル」の演技でオスカー候補になり、「荒野の7人」で重要な役割を演じ、「ブリット」でスティーブ・マックイーンと共に登場しました。しかし、ここで重要なのは彼の映画での実績よりもTVでの仕事です。やはり、ヴォーンはナポレオン・ソロでした、彼のイメージはその賑やかなドラマで、毎週エネルギシュなユーモアを作り上げました。そしてそれこそが「HUSTLE」で求められるものであり、第一話で証明され、ドラマをその方向になんとかなし得たのです。
このドラマは「MI-5」を制作している同じチームによって作られています。そして「MI-5」制作を許可したBBCの同じ部門、さらにロビンソン・グリーンリーガルドラマトラストと素晴らしい演劇国が制作を委託しています。 それは非常に挑戦的な概念で、しっかりと構想が練られています。手短に言うと「HUSTLE」は楽しいのです:洗練され、光り輝き、まことしやか、しかしいつも笑える。社会的現実主義ではないのです。
この大仕掛けの詐欺を行う詐欺師集団についてのTVシリーズという考えは「MI-5」のディレクター、バラット・ナルリから出たものでした。 “それはちょうど「オーシャンズ11」のリメイク映画が登場したころでした。”と、「HUSTLE」のプロデューサー、シモン・クロフォード‐コリンズがいいます。“私たちは皆、「スパイ大作戦」とか「パースゥエイダーズ」など番組の大ファンだったんです。こういう番組が大好きだった理由はそれが完全なる娯楽だったからなのですが、私たちはTVでそれから避けようとしてきたように思います。” ナルリとクロフォード‐コリンズは「MI-5」を制作しているキュドズプロダクションのジェーン・フェザーストンのアイディアを持ちこみました。そして彼女はそれをベテランのドラマ脚本家、「イーストエンダーズ」「ピンテレスク」などで良く知られている、のトニー・ジョーダンにあたえました。
ジョーダンが作り出したのはあの偉大な詐欺師の映画「スティング」とステファン・フリーアーズの「ザ・グリフターズ」をしっかりとテレビ向きに練り直したものであった。「詐欺はアメリカの伝統でもあり、映画の伝統でもあるのです。」BBCドラマ制作部高のギャレス・ニームは言う。「しかし、テレビで観たようには思わなかった、それでそれが馴染みがあるけれども今までになかった印象を与えることになったのです。」確かに少なくとも最初のエピソードではジョーダンは元になったものを示唆しています。
エピソードの中心となる詐欺では「スティング」の設定を思い浮かべさせられます(そして、奇妙にもコンピューター化した映像の罠で)。「スティング」を示唆するのは会話の中に直接でてきます、ある人物を「ミスターレッドフォード」と紹介しているのです。
そして暴力的な結末は「ザ・グリフターズ」のシーンを直接的に反映させています。「私たちはとても意識的にそうしたのです。」クロフォード‐コリンズは言う。「私たちは“スティング”のような映画に借りがあります、でもそれを認識することにより分かりやすくなったのです。」と認める。しかし、「ミスターレッドフォード」を使うアイディアは台本の読み稽古まで決まってはいませんでした。「それが爆笑するほどとても受けたので、そのまま使うことにしたのです。」
しかし、「HUSTLE」を本当に魅力的にしたのはキャスティングです。一味の中心のミッキー(ブリックス)・ストーン、大がかり詐欺の王、役にはすテレビではほとんど知られていないぐれた俳優のエイドリアン・レスターです。レスターは国立劇場でピーター・ブルック演出で「ハムレット」やニコラス・ヒトナーの「ヘンリー5世」などを演じ、またマイク・ニコラスの「プライマリーカラーズ」(英国俳優としてはとても大きな成功を収めた)で主役を、そしてミュージカル「スウィニー・トッド」などの演技でオリヴィエアウォードを受賞しています。 しかし「HUSTLE」に出演するまで、彼はイギリスのTVにはわずか1時間半しか登場していないのです、彼がまだ学生のときにエキストラで「クロスロードホテル」に出演したのを除いて。
「何故TVの仕事をそんなにしていなかったのか全然わかりません。」とレスターは言う。「多分そういう機会がなく、たまたま劇場の仕事が来たので年間を通してそれをしていました。」彼は撮影期間が2.3週間ずれたことにより「HUSTLE」出演が可能となりました。「私は脚本がとても気に入りました。」と彼は言う。「彼らはとても賢くて、次に何が起きるか予測できません。私たちは視聴者をスティングの世界に引きづり込まなくてはならないのです。」それが「HUSTLE」のような番組を魅力的にする鍵だと彼は言う。「詐欺や強盗映画では、観客は彼らが何を得ようとしているのかを知っています。彼らは私たちがその問題をどう解決して目的を達成するのかを、そこでずっと見ているのです。」
レスターに詐欺師を演じることが彼の俳優としての考えている仕事に適しているのかどうか尋ねてみた。それも、結局は俳優がいつもしていることではある。観客をあたかも他の誰かであるように納得させようとしているのだから。「ええ、でもそれは共有されていることです。視聴者はその疑いをとりあえず置いておくことに同意しているのです。彼らも共犯なんです。詐欺では視聴者に私たちが演じていると言ったりはしませんから。」彼は退屈な演劇学生として街の通りで演技で学んだことを実演したことがあると言う。「楽しいのは自分ではなにも知らないことを知っているかのように話すことです。私は一度ダンサーであるかの振りをしましたね、それで上手く通せるかどうかと」
キャストの詐欺技術の教育はかなり厳しいものでした:彼らはアメリカの伝統的な詐欺についての本を読むようにと渡され、講義を受け、マジシャンから誤った方向へ気を引く技術の手ほどきを受けました。マーク・ウォレンは最近では「ステイトオブプレイ」でいかがわしい宣伝マンで登場しており、ここではくずの若い詐欺師ダニーを演じていますが、彼は役のために練習している時に、マジシャンからいくつかカードを購入しさえもしました。「彼は恐ろしいほど上達してるよ。」とレスターは言います。
しかし、彼ら二人にとって、この番組に出演することの本当のご褒美は詐欺のレッスンではありませんでした、それはアルバート・ストローラー、詐欺の標的を見つけるローパー役としてのヴォーンの存在でした。「彼が出演すると聞いた時、僕は聞き間違ったに違いないと思ったよ。」とウォレンは言う。「本当に彼だなって信じられなかったよ。僕は伝説と一緒に仕事をするところなんだってね。でも一日か二日したら僕はポール・ニューマンとかスティーブ・マックィーンについての話をおねだりしはじめていたよ。」レスターも同意する。「彼の存在はまさに光栄なことです。ナポレオン・ソロが共演するんだよ。どんだけ最高なんだ、ってね。」
BBC筋によると制作側は多くの70歳代の男優を見て探したとのこと「しかし、彼らは皆身近なお父さんや伯父さんタイプ過ぎてだめだったんです。」この彼の役には、ギャレス・ニーム主張するには「大切なことは、ロバートがこの役にピッタリであったのであって、彼がロバート・ヴォーンだったからではないと、いうことなんだよ。」クロフォード‐コリンズも言うように:「ヴォーンは私たちがまさに必要とする輝きと魔力を持っていたのです。少々派手すぎるのではないかと心配しましたが、すぐに彼がまさに理想的であると気がつきましたよ。」
ヴォーン自身は、何故かれがこの役をすることになったかについては、ロンドンでの仕事であること以外は、あまり語らなかった。「誰かがこの役はナポレオン・ソロが晩年に、法の反対側へ行ってしまったような役だと私にいったね。」と肩をすくめた。そして、「ナポレオン・ソロは画面では良い奴の印象を与えているからこの役でも同じようにしているよ。良い人であろうと心掛けているよ。それが視聴者が望んでいることなのでね。愛すべき人にしたいんだ。」
今や彼は伝説モードに入って来ている。「HUSTLE」撮影中にチャールズ・ブロンソンの訃報が伝わり、"荒野の7人“の最後の一人になってしまったことにどう感じているかを尋ねると、彼は学友のジェームズ・コバーンをどうやってその映画に出演させたか(彼の最初の大役)の長い話とブレイク・エドワーズの話をしてくれた。
彼は詐欺の被害に会ったことがあるのだろうか?「私が今までに唯一経験した詐欺はプロデューサーが、ある人が映画に出演すると言いながら、実際に現場に行ってみると居なかった。ということだね。」
この番組では、皆がセットに現れたときには、ロバート・ヴォーンは約束通りそこにいる。