1984年制作のオーストラリア映画です。第二次世界大戦時の日本の攻撃に対してオーストラリアの国内・外政策を含め、オーストラリアの視点で描かれていて、とても興味深い作品です。当時のニュース映像も随所に織り込まれ、迫力ある映画になっています。当時の米国ルーズベルト大統領、イギリスのチャーチル首相、そして、オーストラリアのカーティン首相の関係が如何に戦況に影響したかも良くわかります。
 ヴォーンさんは、日本へ乗り込んで来る前の、マッカーサー元帥を演じています。フィリピンでの米軍戦況が思わしくないまま、米国政府の意向でオーストラリアでの連合軍司令官に移動させられた時の、フィリピンを離れ難い心境。有名な"
I shall return"の背景や、殆ど軍備が整っていないオーストラリアでの苦悩が詳しく描かれています。
 米国民の中では人気があり、英雄扱いされていたマッカーサーですが、その頑固な性格から、政府内では嫌われ者だったようですね、海軍ともソリが合わず、本当に理解してくれるのは側近のみという、苦悩する元帥の心の変化、思考の変化がとても良く表現されていると思います。1983年のリターン映画の体型からは想像できないくらいの貫禄のある体型で登場しているのですが、これって、当時のマッカーサーに似せているのだな、と分かりました。
 オーストラリア政府を尋ねる途中敷地内で羊に取り囲まれたときの困惑した表情がなんとも言えません。また、オーストラリアのブレーミー元帥に詫びるときの潔さ、そして、自軍の指揮官に、勝てば、新聞に君の手柄だと言ってあげよう、しかし、勝たなければ帰ってくるな、と告げる時のあのゾッとする怖さ、見ごたえがあります。
 159分という長い映画で、ヴォーンさんは後半残り40分くらいからの登場ですが、オーストラリアの視点での大戦記録映画は、初めてだったので、とても新鮮でした。
 
HOME
BACK
The Last Bastion:最後の要塞(1984)
BACK
NEXT
HOME