ナポレオン・ソロ絶頂期に作られた作品です。軽妙なスーパーヒーローから一転、元CIA情報員で今はフリーの落ちぶれた新聞記者フェナーを演じています。 その彼が、ベニスで起きた世界氏平和会議でのアメリカ大使自爆事件の取材に派遣されるのですが、この後ろにはCIAの策略がありました。彼が何故CIAを追い出されたのか、それは物語が進むにつれ明らかになり、その原因となった元妻サンドラ(エルケ・ソマー)がこの自爆事件にからんでいることがわかります。そのサンドラを彼はまだ愛しているのを知っている元ボス、ロージーが彼を利用して、彼女の身柄を拘束して情報を引き出そうとしたのです。
結論から言って、展開も速く、スリル度、サスペンス度、ヴォーンの演技度、かなり満足です。良い映画です。この年になったから良さがわかる。スーパーヒーローのヴォーンも格好良いけれど、このような憂いを秘めた影のある役は彼の卓越した感情表現が遺憾なく発揮され、見所満載です。圧巻はフェナーがサンドラが住んでいると思われるアパートに行き、彼女の生活した気配を察していくシーン。セリフは全く無く、センチメンタルなBGMが流れる中、Vaguhnの無言のかつ繊細な演技が展開されます。化粧台に置かれた香水を嗅ぎ、彼女のものとわかったときに、そのビンを握り顔によせる切ない表情、なんと言えません。胸がつまります。DVDにしてくださーい。

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The Venetian Affair(1967)Thanks to Azusa